ネスレ、「再生農業」への移行で貧困と気候変動に挑む

世界最大のコーヒーブランド「ネスカフェ」は10億スイスフラン(約1700億円)を投じて、ビジネスモデルの大変革に取り組む。コーヒー農家の貧困や気候変動による農地の減少などでコーヒーの持続可能性が問われている。「再生農業」を通して、貧困と気候変動に挑む、同社のトランジション戦略を追った。
「コーヒーの2050年問題」を知っているだろうか。実は、この問題を解決しないと、2050年ごろには、コーヒーを気軽に飲めなくなってしまう恐れがあるのだ。
コーヒー栽培に適した土地は、北緯25~南緯25度に限られている。気候変動の影響で、アラビカ種のコーヒー栽培に適した土地が最大で50%減ると予測されている。
栽培面積も減るが、さらに深刻なのがコーヒー農家の貧困だ。農家の約8割が、貧困状態にあるので、担い手不足に陥る恐れがある。
人口が増え、コーヒーに依存する人が増えていくと、2050年にはコーヒーが気軽に飲めなくなる日が訪れるかもしれない。これが、「コーヒーの2050年問題」だ。