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気候変動と企業と「表現の自由」の不思議な関係
気候変動と企業と「表現の自由」の不思議な関係

気候変動と企業と「表現の自由」の不思議な関係

2024/03/01・by池田 真隆 (オルタナS編集長)池田 真隆 (オルタナS編集長)


記事のポイント


  1. 企業が気候変動などESG関連情報を開示することの重要性は増している
  2. EUや米国などそれぞれの規制当局が企業に開示を義務付ける方向で動く
  3. だが、「表現の自由に反する」として、その動きが弱まる可能性もある

ESG領域の「透明性」が求められる中、企業が気候変動などESG関連情報を開示することの重要性は増している。EUや米国では、それぞれの規制当局が開示を義務付ける方向で動く。だが、「開示が困難」「表現の自由に反する」などの理由から、その動きが弱まる可能性も出てきた。(オルタナ副編集長=池田 真隆)


ロイターなど複数の米メディアはこのほど、「米証券取引委員会(SEC)の最終案では、スコープ3排出量の開示義務化を断念する見通し」と報じた。スコープ3は、企業のサプライチェーン全体の排出量を指す。


企業のGHG排出量のうち、スコープ3は全体の7~9割を占め、脱炭素については、「スコープ3対策」が重要課題だ。スコープ3は自社でなく、サプライヤーの排出量なので、削減はもちろん、現状の排出量を把握することから困難だ。


まだ明確な解決策が確立できていない領域であるが、この領域でいち早くリードしたいと狙うEU(欧州連合)は企業サステナビリティ報告指令(CSRD)を施行し、すでにスコープ3の開示を義務付けた。