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COS KYOTO:「地域の文化を守る」
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COS KYOTO:「地域の文化を守る」

2024/07/08・byMalika KerimbayevaMalika Kerimbayeva
目次

・文化とアイデンティティの重要性
・人間の欲望を変えないかぎり、何も変わらない
・COMMUNITYの力
・文化と未来
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北林功


奈良出身。子供の時から環境問題に強い課題意識を持って育つ。
大学時代には、総務庁(現内閣府)の国際青年育成交流事業フィンランド派遣団に参加し、環境・福祉・教育行政やデザインについて学ぶ。
卒業後はエネルギー設備や人材育成研修の分野で活躍。その後、「文化ビジネス」を研究してMBAを取得。
2013年に「COS KYOTO」を設立し、地域創生プロジェクトや国内外の交流イベントを展開。
2016年より「DESIGN KYOTO」や「DESIGN WEEK KYOTO」など、地域の活性化に貢献している。



文化とアイデンティティの重要性


日本の人口は減少している一方で、生き方の多様性は増加している。つまり、私たちは自分に合った人生を見つけるための新たな課題に直面している。しかし、日本の伝統的な慣習には、従来のやり方に固執する傾向があり、新たな視点を取り入れることが難しいのが現状である。

そこで、他国の文化や、自分が生まれ育った地域の文化、そして日本の伝統文化について学ぶことが重要になってきている。他国の文化を学ぶことで、異なる価値観や生き方を理解し、視野を広げることができ、自分のルーツである地域文化や母国の文化を再評価することで、自分自身のアイデンティティを意識し、自分に合った生き方を見つける手助けとなる。

このように、グローバルな視点とローカルな視点の両方を取り入れることで、より豊かで多様な生き方を模索することが可能になる。多様な生き方を認める社会を築くために、私たちは積極的に新しい視点を取り入れ、自分自身の価値観を見直すことが求められている。

北林さんはフィンランドに留学していた。フィンランドの教育システムでは、自分の文化やアイデンティティを誇りに思うことが大切にされている。それは、「フィンランドのアイデンティティ」を持って、将来のビジョンを実現し、現在の課題を克服するための哲学を育むからだ。
「自分自身を変えるためには、自分らしさを保ちながらも柔軟に行動することが必要。そして、異なる人々と交流しながら、新たな視点を得ることが大切」と北林さんは言った。



人間の欲望を変えないかぎり、何も変わらない


人を変えようとすると、失敗する可能性が高い。しかし、「欲望」を変えることを試みたらどうなるだろうか。

仕事や勉強においても、何のためにそれを行っているのかを明確にすることが重要だ。「何のためにやっているのか?」という問いに対する答えをしっかりと考えることで、目的意識が生まれ、それが行動の原動力となる。そして、人が「あ、これは面白いな」と思った時、その人の「欲望」も変わっていく可能性がある。

例えば、仕事や勉強がただの義務として感じられている場合、それに対するモチベーションは低くなる。しかし、その活動が自分にとって意味のあるものだと感じられるようになると、自然と関心が高まり、欲望も変化していく。この変化は、個人の経験や体験を通じて生じることが多い。自分が直接体験することで、活動の重要性や価値を実感し、それを守りたいという気持ちが芽生えるのだ。

北林さんの話から学べることは、人を変えようとするのではなく、人の関心を引き出すために努力することが重要だということだ。人は自分が興味を持ったり、面白いと感じたことに対して積極的に取り組むようになる。そのためには、ただ単に情報を提供するだけでなく、その人にとっての意味や価値を見つけてもらう手助けをすることが大切だ。

つまり、人を変えようとするのではなく、その人が自分の興味や関心を見つけられるような環境を提供することが、欲望を変える鍵となる。欲望が変われば、その人の行動や態度も自然と変化する。これが、北林さんの話から得られる重要な教訓だといえる。



COMMUNITYの力


北林さんと共に亀岡市へ「地域文化」を学びに行った。

最初のスポットは、昔、人間の手で作られた川だった。この川は、かつて地域の発展のために作られ、現在は地元の人々によって大切に守られている場所だ。



北林さんは、「地域の方々は、川を守ることで地域の文化を守っていることに誇りを感じている」と語った。つまり、地域の人々は自分たちのアイデンティティがその地域に根ざしていることを理解している。そして、自分たちの価値観や大切にしているものを守りながら生きることで、文化が時間を超えて継続されることを意識しているのだ。

このような活動は、お金に関係なく、地域への愛情や発展、文化の保護に尽力するという強い意志から生まれる。地域を守ることは、自分自身を守ることでもあるという信念が根底にあるからだ。亀岡の川を守る取り組みもその一つである。

地元の人々は、自分たちの文化や自然を守るために、神社のお掃除や地域イベントの開催など、さまざまな活動を続けている。この活動を通じて、地域の人々は自分たちのコミュニティへの帰属意識を高め、互いの絆を深めている。

私たちが学んだ亀岡の川を守る取り組みは、その地域文化の一例に過ぎない。この川は、地域のシンボルであり、地元の人々の誇りでもある。亀岡の人々は、自分たちの生活の一部として、この川を未来に渡って守り続けることに尽力している。


「京すだれ川崎」へ訪問、竹並びの例

また、私たちは「京すだれ川崎」も訪問した。ここでは、竹を使ったすだれの製造が行われており、その伝統を守る努力が続けられている。

亀岡の地元の人々は、地元の神社や川だけでなく、すだれの製造など日本の伝統文化を守るためにも尽力している。現在、日本全体で、すだれの生産は非常に減少している。また、この技術を持つマスターの数も減少しているが、亀岡の人々はこの文化を守ろうとしている。

地元の人々には地域の未来へのビジョンがあり、大切に守ってきた文化が失われる可能性に対する危機感も感じている。そのため、この文化を継続させるために、責任を持って取り組んでいるのだ。

地域の文化を守ることは、その地域のアイデンティティを守ることに他ならない。それは、過去から現在、そして未来へと続く大切な絆である。地域の人々は、その絆を大切にし、次の世代へと受け継ぐために日々努力を重ねているのだ。

地域の文化を守るという活動は、単なる保存活動ではない。それは、地域の人々が自分のアイデンティティを意識し、未来に向けて進むための重要なプロセスなのである。このような取り組みを通じて、私たちは地域の力、COMMUNITYの力の偉大さを改めて感じることができた。



文化と未来


人間の欲望を変えることが、未来を切り拓く鍵となる。

現代のトレンドに追いつこうとするあまり、私たちは先祖が誇りを持って守ってきた文化や価値観を忘れがちである。しかし、もし私たちが、歴史のある文化を忘れられないトレンドにすることができたらどうだろうか。

お金や物質的な価値を超えた地域への愛情や文化の保護への努力は、時間を超えて継続されるべきものである。私たちも、自分自身の欲望を見つめ直し、地域や文化の発展に貢献する姿勢を持つことが重要だ。それが、新しい時代を創るための第一歩となるだろう。
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COS KYOTOが行っている大事な活動を見て、これからも応援しています!
北林さん、ありがとうございました!